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かわら版

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利休好みのお麸

行事とお麸

2021年、半兵衛麸は創業332年を迎えます。

初代玉置半兵衛さんが、京都の町で創業したのは元禄2年。

元禄時代といえば、都市文化の発展が進んだ時代で、

井原西鶴、松尾芭蕉、近松門左衛門が活躍し、

尾形光琳、尾形乾山、野々村仁清などが今の世にも残る

作品をたくさんつくりました。

 

京の町人も遊芸に親しんでいたとのこと、半兵衛さんも商いの合間に、

歌舞伎鑑賞や茶の湯の席に出かけていたかもしれません。

さて、半兵衛麸には「利久麸」「利久坊」というお麸があります。

「利久麸」は、生地に、きくらげを練り込んだ棹状のなま麸、

「利久坊」は、きくらげ、銀杏、ゆり根を生地で包んだ丸いなま麸、

どちらも茹でた後に、油でさっと揚げて油抜きしています。

「利久」とつくのは、千利休さん好みのものの意味。

半兵衛麸に残る江戸時代の料理本や千利休ゆかりの古書や掛け軸の中には、

「麸」や「湯波」「ふのやき」の記述がたくさん出てきます。

中には「きくらげ麸」と書かれたものの。

 

そんなご縁もあって、初釜のお茶時にと

「利久麸」「利久坊」をお求め頂くことがよくあります。

今度、ご家庭でお料理されたときには、少しの時間、

千利休さんに思いを馳せながら、お召し上りください。

これまでと、味わいが変わるかもしれません。

 

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