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「重陽の節句」のしつらえ -後の雛について-

半兵衛麸のこと

毎年、半兵衛麸本店では、九月になると、入口のしつらえに雛人形を飾っています。
「なぜこの季節に?」と不思議に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか?

今回は、九月に雛人形を飾る「後の雛」という風習についてお話します。

「後の雛」は、「重陽の節句」にともなう行事の一つです。
三月の「桃の節句」に飾ったお雛様を「重陽の節句」の頃に、
長寿の願いを込めて再び飾るという江戸時代からの風習です。


ただ願いをこめて飾るだけでなく、貴重な雛人形を一年間、仕舞い込まずに、
痛みを防ぐために、虫干しをするという理由も含まれています。


五節句のうちの一つである「重陽の節句」も
現在では、あまり馴染のない行事となってしまいましたが、
近年再び、脚光を浴びつつあります。

中国を起源とした行事で、日本には、平安時代の初めに伝わり宮中に広まりました。
旧暦の九月九日(現在の十月九日頃)は、菊の咲く季節であったことから
「菊の節句」とも呼ばれ、菊に着せ綿をしたり、菊酒を飲むなど、
菊を用いて長寿や繁栄を願う行事です。

 

また、「重陽の節句」は、「五感の節句」ともいわれ、
半兵衛麸のしつらえの写真を見ていただくとお分かりのとおり、
五つの感覚になぞらえて飾り付けをします。

●視覚・・・お雛様とお内裏様
●聴覚・・・琵琶
●嗅覚・・・匂い袋
●味覚・・・盃
●触覚・・・着せ綿
      菊の花の上に前日の夜から真綿をかぶせておいて、
      菊の香と露を含んだ綿で顔や体を拭いて、無病息災を祈ります。


半兵衛麸では、大正時代を最後に、雛飾りを中断しておりましたが、
平成31年より大切な文化を残すため、毎秋飾り付けをしています。
今年も旧暦にあわせて10月初めごろまで展示しておりますので、
ご来店の際は、是非、ご覧くださいませ。

秋になって少し涼しくなってきた頃。
節句人形など、押し入れの奥に片づけているものの風通しも兼ねて、
皆様も雛人形を飾ってみては、いかがでしょうか?
年中行事を通して、おうち時間をお楽しみください。

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