半兵衛麸の嵯峨菊
秋になると、半兵衛麸本店の玄関先には、嵯峨菊の鉢が並びます。
嵯峨菊は嵯峨天皇の御代、
大沢池の菊ヶ島に自生していた嵯峨野独特の野菊。
風情と、格調をかねそなえた、大覚寺「門外不出」の嵯峨菊は、
一般的な丸い菊とは違い、茶筅によく似た可憐な花です。
嵯峨天皇がその気品ある姿と香りを好まれたそうです。
半兵衛麸と嵯峨菊のご縁は、今から30年ほど前、
お得意先のお料理屋のご主人が自宅の庭で育てている嵯峨菊を
「本店に飾ったらいいよ」と持って来ていただいたのが始まりです。
そのご主人が持病の悪化とご高齢になられ、
「自分では育てられないから引き継いでほしい」と、
当時の弊社社長 玉置清治氏に育て方を伝授。
清治氏、定年退職した今も自宅で50鉢ほど育て、届けてくれます。
おかげで毎年途絶えることなく、本店の玄関には嵯峨菊が並んでいます。
育てる人が少ない嵯峨菊、一時は継承が危ぶまれるほどでしたが、
今は少しずつ栽培する人も増えてきているそうです。
おかげで、今年も丹精込めて育てられた色とりどりの可憐な花が、
皆様のお越しをお待ちしています。
※ 半兵衛麸では、嵯峨菊のほかにも、社会貢献の一つとして、
藤袴・ヒオウギ・菊谷菊などの希少植物の育成をしています。