半兵衛麸のこと
半兵衛麸のこと

あんなぁよおぅききや

NO.32 卒業式【後編】

「事のはじまりは、原(もと)の因(はじまり)で、原因や。
事の終わりは、結(とじ)て果(はてる)から結果になるんや。
物には必ず、原因があって結果があるのんや。
その因と果をとって『因果(いんが)』て読むんや。
「あの人は因果のわからん人や」「あの人は因果の悪い人や」って聞くやろ。

学校へ入学して教えてもろたのがはじまり、大人にになって結婚したはじまりの時、
困った時にお金を貸してもろたのがはじまりの時、何でもはじめにお世話になって、
嬉しかった『はじめの心』を忘れてしもて、怒ったり、悪口を言うたり、
借りたお金を返さなかったりする人を『因果のわからん人』て言うのや。

誰でも商売をはじめる時は嬉しいのや。
開店したら、はじめはみんな義理ででも買いに来てくれはるが、ちょっとお客さんが
来んようになって、ちょっと商売が悪うなうと、
『あの人が来ないから…』『あの人も来んようになったから、うちの商売が悪うなったんや』
と他人のせいにして、だんだんと働かんようになるのや。
はじめは『しっかり頑張って、朝早うから働いて、もっと店を大きくして…』
と思うていたのに、はじめの心を忘れてしもて、開店して3年くらいで、あかんようになるのが多いのや。

はじめた時の決心を思い出して辛抱をして、もっと頑張ったらええのに。
商売はじめた時の決心を忘れてしもうた人の店は、つぶれてしまうのや。
はじめの心をいつも思い出してる人は成功するのや。
昔から『石の上にも3年』て言うやろ。
物事には、はじめがあって、終わりがあるのや。

おまえも、お父さんの子供として生まれてきて、父子がはじまったのや。
お父さんがいつか死んで終わるのや。
いつままでも、お父さんがこの世にいるのやないのや。
『お父さん助けて』言うても、もうその時は、お父さんはいやへんから、
自分一人でやっていかんならん。
その時のためにも、いつまでもお父さんに頼っているようではあかんのや。
自分はもっとしっかりせんとあかんと思わな。
自信を持って、自分一人でやっていけるようにならなあかんのや。

あんなぁ よおぅききや

因の心が『恩』や。
親の恩、他人さんの恩や先生の恩を忘れたらあかん。
そして、いつかは果てる時が来るのや。
因と果の間が大切なんや。因果のわからん人になったらあかんぇ。

中学校に入ってはじまり、中学校を卒業して終わったら、すぐにまた新しい高校のはじまりや。
試験に受かった時のうれしさを忘れん高校生になるんやぇ。果ての高校を卒業するまで気張るんや。
卒業したら、また社会人の因や。」


合掌