半兵衛麸のこと
半兵衛麸のこと

あんなぁよおぅききや

NO.22 魚の骨 【後編】

日本食を食べる時の作法の中で、食べ方の型だけを教えたけど、
もっと大切なものがあるのや。

それは食事をする時の心構えが大切なんや。

作法の根本の第一は、お日さん、雨、土の自然の力と、料理を作ってくれた人、
材料や料理を運んでくれた人やらのご苦労、いろんな人のお陰で
食事が今、目の前にあるのを感謝することや。

他人に対しての心遣いをすること、他人に不愉快な感じを与えず、
思いやりの心で食事をすること、愛(いとお)しみの心、いたわりの心で食事をすることや。
人間が食事をするのは、餌をあさってるのと違うのや。

食べてる時に、食事の基本の心に合った食べ方、他人への接し方を心掛けたらよいのや。
食事をする場所によっても違うし、出てくる食べ物も違うから、根本を知ってて、
その場で考えて合わしたら良いのや。

行儀が悪いのも、もちろんいかん。
出すぎると不愉快な思いをさせ、その場の雰囲気を壊すことになるから、他人に無礼のないように、
自分勝手なことをしたらあかん。

反対に、あんまり遠慮ばかりしてると、向こうの人(主人)は、何か気に入らんことがあるのか、
どうしたらええのかと考えて、いらん気を遣わして心配さすことになるのや。

『○○の料理は高い、高級や』『××の料理は何度も行ったが高いだけでまずい』
と言うてる人があるが、値の高い料理屋に行ってる自慢をしているだけで、どの料理人さんも
みんな自信を持って出しているのや。
ただ、自分の舌に合うか合わんかの違いやから、うまいまずいの批評はしたらあかんのや。
味の濃いのが好きな人もあれば、薄味好みの人もある。
料理の批評をしないのも、ご主人に対しての思いやりになるのや。

食べる人のその時の体調によっても味の好みは変わるから、絶対に味や料理の批評はしたらあかん。
何でも美味しい美味しいやったらまだいいけど、まずいまずい言われたら、一緒に食べてても
気分悪いさかいなぁ。

外で食べる時だけやのうて、家で食べる時から気をつけて、行儀よう食べるようにせんとあかんぇ。
外で食べている時にも、つい普段の癖が出てしまうさかいに・・・。

あんなぁ よおぅききや

食事の行儀ぐらいと馬鹿に思うたらあかん。
思いやりの心、愛しみの心、いたわりの心をいつも持っていると、他人が安心して交際(つきおう)て
くれはるのや。
そして良いご縁ができるのや。
良いご縁が、また良いご縁に広がっていくのや。

「そうや、食べた後のお魚の骨が見えんようにそっとしもうといてあげや。」


合掌