半兵衛麸のこと
半兵衛麸のこと

あんなぁよおぅききや

NO.21 魚の骨 【前編】

不足していた食糧が出始め、町の市場や店に果物、野菜、魚などが自由に売られるようになってきました。
豆かす、芋づるの配給、お茶を飲んだ後の葉っぱまでは、もう食べなくていいようになりました。
家族が囲む食卓も、少しはにぎやかになり、ただ空腹を抑えるための食事から味わえる食事になり、
心なしか笑みが出て、会話も弾み、食事の時に、今日一日学校であった話ができるようになりました。
しかし、行儀についてもだんだんと厳しくなっていました。

「お箸の持ち方がおかしい」

と、妹や弟も何度も持ち直しさせられています。
「そんな先の方持たんと。そんな持ち方してたら、小さい物が掴(つか)めへんやろ。
お箸はどんな物でも上手に掴めるようにならんとあかんのや」

「これでも食べられる」
「なんぼ食べられても、そんな持ち方あかん、あかん。
昔から箸の持ち方で育ちがわかると言われるくらいや。
掴むだけやのうて、お箸の置き方、お箸の取り方も大事なんや。
上手に食べはる人の箸づかいには率(そつ)がない。
お箸の上げ下げにも、ちゃんと型があるのや。

『箸の上げ下げにもうるさい人や』言うて毛嫌いする人もあるけど、
ちゃんとしたことを一回覚えといて、癖にしたら何でもないことや。
食べてる時に手が勝手に動いてくれるもんや。
慌てて食べんでもええから箸づかいに気入れてご飯食べてみ。
そのうちに自然に身につくさかいに・・・。」

「・・・」
「みんな大分上手になってきたなぁ」

お箸の取り方、握り方、置き方を教わって、間違ったことをするとやり直しをさせられました。


「和食の食べ方にもいろんな作法があるのや」
「へぇー、洋食の時だけと違うの?」
「日本人は、洋食の時はナイフとフォークやから、
どうして使うて食べたらよいのかと、ものすごう気にして食べるのや。
外国の食事の時だけ、何でそないに気を遣うてるのか不思議や。

日本の食事をする時の礼儀は、古うて千年以上も前からちゃんとあるのや。
昔から『衣食足りて、礼節を知る』と言われてるくらいや。

もうみんなも、いつまでも子供やないのやから、行儀よう食べられるようにせんとあかんな。
まず、人間生きていくには食べものやからな。
きれいに食べられるようにならんとあかん。

身を美しくするから『躾』と字で書くのや。しっかり躾なあかんのや。
洋食の時、ナイフを口に持っていったらあかんのは知ってるやろ。
お箸もねぶったらあかん。どうや、洋食よりも日本食の方が難しいやろ。
日本人やったら日本食の行儀作法くらいしっかり覚えとかなあかん。」


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